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陽子先輩 <上>



僕が今の会社に新卒で入社し、最初に配属された部署にいたのが陽子先輩だった。僕より10歳年上の33だった。陽子先輩は二人の子育てをしながら働いていた。当時としては、子育てと仕事を両立させている女子社員は稀だったように記憶している。女子社員というと補助的な仕事を印象づけるが、陽子先輩は僕が配属された係の係長だった。直属の上司でもあり、僕の教育係でもある存在だった。

陽子先輩は身長が175cmあり、僕より5cmほど背が高い人だった。しかも、普段はヒールを履いていたので身長差は10センチはあった。その大柄な係長に僕は仕事のイロハを徹底的に叩き込まれた。教わったという言い方は適当ではない。叩き込まれたのだった。それだけ、厳しい先輩だった。

陽子先輩は、同期のなかでも出世コースにのっていたように思える。33歳の係長でありながら、陽子先輩は同期初の課長ポストが目前だったからだ。それゆえ、仕事にはとにかく厳しい先輩だった。ロングストレートの黒く長い髪、ひきしまったウエストを中心にスーツスカートが似合っていた。整った顔立ちには大きな瞳と筋の通った鼻、小さめの唇が配置されており、大人の美人というのは、こういう女性をさすのだと思った。とにかく、その見た目の華やかさと仕事でみせる厳しい姿勢のギャップが激しい女性だった。僕が学生だった頃には出会ったことのないタイプの女性だった。

陽子先輩に触発されたこともあるが、僕は誰よりも早く出社し、誰よりも遅くまで仕事で残っていた。仕事の内容は陽子先輩の抱える案件をサポートすることだったこともあり、陽子先輩より先に帰るのは憚れた。残業後に陽子先輩が飲みに連れて行ってくれることは度々あった。慰労をかねてというより、仕事についての課外授業といった内容だった。

その晩も陽子先輩の残業につきあうかのように遅くまで会社に居残っていた。金曜日ということもあり、翌週の準備が立て込んでおり、慌しい一日だった。仕事を終えたのは11時を過ぎていたように記憶している。陽子先輩に誘われるまま、軽く飲みに出ることになった。

陽子先輩には行きつけのショットバーがあり、そこへ連れて行かれた。ショットバーの片隅にあるテーブルに陣取り、陽子先輩がジンライムを飲む隣で僕はビールを飲んでいた時だった。
「篤は、彼女はいるの?」
唐突な質問を受けた。
「そ、そんな人いません」
「仕事が忙しくて探す暇がないのかしら?」
「べつに仕事がという訳ではありませんけど、そういう人はいません」
今までに陽子先輩からプライベートな質問を受けたことがなかったので、僕はしどろもどろになってしまった。
「ふうん。でも、仕事は忙しいわよね。学生時代に彼女はいなかったの?」
またもや彼女についての質問を受けてしまった。苦手な質問だった。学生時代にも彼女はいなかった。そう答えるのは僕には苦痛だった。黙り込んでいると、
「篤、もしかして童貞なの?」
陽子先輩が尋ねてきた。あまりに直球の質問だったので、僕はのけぞりそうになってしまった。

「わたしが教えてあげようか?セックス」
含み笑いを陽子先輩は浮かべた。陽子先輩の目は笑っていた。
「か、からかわないでください」
僕はきっと真っ赤な顔をしていたと思う。
「からかってなんかいないわよ、初物には触手がうごくのよね、わたし」
「そんなこと言われると本気にしてしまいます」
「篤が教えて欲しいなら、教えてあげるわよ」
陽子先輩は天井を仰ぎみながら呟いた。

「本気で言っているんですか?」
「ちゃんと教えてくださいって言ったらいいわよ」
「お、教えてください」
「何を?仕事なら教えているわよ」
陽子先輩は再び含み笑いを表情に浮かべていた。
「やっぱりからかっているじゃないですか」
「うふふ、ちょっとからかったのよ。でも、本当にセックスしてもいいわよ」
「本当ですか?本気にしてしまいそうです」
「篤が童貞なら、教えてあげる」

その晩、僕は陽子先輩に腕を引かれながら生まれて初めてラブホテルへ連れて行ってもらった。ラブホテルの玄関を入ると、陽子先輩は手慣れた様子で部屋を決め、フロントで鍵を受け取った。
「わたしは後で帰るけど、篤は泊まってしまいなさい」
陽子先輩は鍵を僕に手渡した。

エレベーターにのり、僕と陽子先輩は三階でおりた。部屋は308号室だった。今でも部屋の番号を覚えているのは、それが初めてのセックスをした部屋だからだと思う。陽子先輩に急かされるように部屋に入り、照明をつけた。すぐに陽子先輩は部屋の照明を薄暗くなるようにおとした。僕は陽子先輩を見て、ベットサイドで照明を調節できるということを初めて知った。

部屋を薄暗くした陽子先輩は僕を抱き寄せるとキスをしてきた。陽子先輩が僕より長身だということもあり、なんとなく抱かれているような感覚がした。陽子先輩は僕のジャケットを脱がし、ネクタイを外し、Yシャツを脱がせ、肌着も脱がせてくれた。あっという間に、ズボンもトランクスも脱がされてしまった。僕が脱がされる最中もキスが途切れることはなかった。何度も何度も陽子先輩はキスをしてくれた。唇をついばんだり、首筋を舌先で舐めたり、背中にまわした両手で僕の背筋をなぞったりした。陽子先輩の耳元から漂う香りに僕は酔いしれていた。

陽子先輩自身はキスをしながら自分で脱いでいった。ジャケットも淡いピンクのブラウスも同色のキャミソールも、白く総レースを施したブラジャーも、あっという間に脱ぎ去った。スカートのホックも陽子先輩自身が外した。スカートが床に落ちると肌色のパンストに包まれた白いショーツが見えた。陽子先輩は手早くパンストもショーツも脱ぎ去った。僕も陽子先輩も全裸になっていた。

陽子先輩は僕の勃起したペニスを握るとベッドサイドにいざなった。そして、ベッドへ僕を押し倒すと覆いかぶさってきた。シャワーを浴びていないことに気付いたが、このままでいいと思った。
「最初がわたしで後悔しない?」
「後悔なんかしません」
「じゃあ、篤の童貞を食べちゃうわ」
陽子先輩がキスをしてきた。舌が唇を割って侵入し、僕の口腔をしゃぶりつくした。その間も僕のペニスは陽子先輩の右手で軽く握られたまま、扱かれていた。

陽子先輩の指先が僕の鎖骨をなぞり、唇は乳首から腹筋をなぞっていった。やがて股間まで達した陽子先輩の唇がペニスの先端に触れた。ちゅっと軽い音をたてた後、ペニスの亀頭は陽子先輩の口腔に吸い込まれていった。ジュプ、ジュポっという音が数回続いては止み、止む度に陽子先輩の溜息が聞こえた。僕の玉袋を撫でながら、陽子先輩の舌先はペニスの先端と根元を何往復もした。初物は美味しいわと陽子先輩は呟いた。

やがて、陽子先輩は僕に跨ってペニスを掴むとオマンコにあてがった。
「いよいよ童貞におさらばよ」
陽子先輩は含みのある表情を一瞬みせた後、恍惚とした表情を浮かべながら膣奥深くまでペニスを少しづつ入れていった。熱い襞にペニスが包まれた。奥に達するまでペニスを入れ終わった陽子先輩は上半身を固定したまま、腰を降り始めた。両腕で支えられた上半身は軽く揺れるだけだった。陽子先輩の命じるとおりに、乳房全体を撫で、乳首を弄ってみた。陽子先輩はたくみに腰を使い、徐々に出し入れする速度をはやめていった。

どの位の時間が過ぎたかは今では憶えていない。多分、半時間近い時間が過ぎていたと思う。
「もうダメ、いきそうだわ」
陽子先輩が呻いた。ペニスにまとわりつく襞はいっそうに熱くなり、ペニスを締め付けてきた。
「ああっ、ダメ。イク」
唐突に大声をあげた陽子先輩は上半身を支えきれなくなり、僕に覆いかぶさってきた。陽子先輩の腰を掴んで下から突き上げる度に、獣の咆哮のように陽子先輩は声をあげた。まるで、別人のように映った。下から突き上げているうちに、再び陽子先輩は達した。
「ああっ、イク!イク、イク。ダメ、イク」
叫びながら陽子先輩は達した。

三度ほど、達した後に陽子先輩は僕の隣にごろりと仰向けに寝転がった。
「篤、本当に初めてなの?」
「初めてですよ」
「篤のコレ、すごいわ」
勃起し続けるペニスに陽子先輩は指を絡めた。
「合格でしたか?」
「初めてでここまで気持ちよくしてくれたんだもの。合格だわ」
「今度は僕が上になりますね」
「まだするの?」
陽子先輩の問いには答えず、僕は陽子先輩に覆いかぶさり、ペニスをオマンコに押し当てた。ヌルリヌルリと膣奥に吸い込まれていった。

早くも陽子先輩は喘ぎだした。はあはあという息が途絶えては、おおっと吼えた。正上位という体位だったと後から教わった。その時、僕は夢中で腰を使った。陽子先輩は僕にしがみつき、僕の背中に爪をたてていた。僕も陽子先輩をしっかりと抱きしめていた。キスを交わしながらも互いに擦りつけあうように腰を使い続けていた。

「ああっ、篤。また、いきそうだわ」
「いってください」
「こわれちゃうわ。ああっ」
陽子先輩は首をのけぞらせ喘いだ。
「さあ、もう一回いってください」
「ああっ、あっ、いきそう」
背中に食い込んだ爪がしびれるような痛さをもたらしていた。
「こうしたらどうです?」
腰を円を描くようにグラインドをかけた。
「だめっ、イク、イク!」
その後、陽子先輩は声にならない高い呻き声をあげ、低く唸るような声へと変化していった。
「僕も、もうだめです」
「キテ、キテ、中にキテ!」
激しく腰を使ったこともあり、陽子先輩は連続してイキ続けていた。
「だ、だします。このまま、出します」
「篤の精液、中に出して。いっぱい出して」
陽子先輩の声は既に叫び声になっていた。その叫び声に導かれるようにして僕は射精した。陽子先輩の膣奥に精液を出し切った。射精が終わっても暫く抱き合ったまま、動けなかった。

その晩を境にして、月に2度3度と陽子先輩とは体をあわせる関係になった。デートはいつも金曜もしくは土曜出勤した日の夜だった。陽子先輩は僕にオンナの体をいかに味わうかを教えてくれた。色々な体位というのがあることも教えてくれた。陽子先輩は懇切丁寧にセックスを教えてくれたし、獣の雌になってセックスを楽しんでくれていた。



僕は入社して3年目に地方へ転勤になった。いよいよ、陽子先輩のもとから巣立つ時が来たと思った。寂しさを感じるのだろうなと僕は思った。そういえば送別会の夜、陽子先輩はかなり酔った姿を晒した。皆でタクシーへ乗せて送り出すのは一仕事だった。きっと、離ればなれになってしまうことが悲しかったのだと思う。僕も陽子先輩同様に寂しかった。どれ位、寂しく感じる時期が続くのか分からなかった。三年近く体を重ねあった関係は簡単に切れるものではなさそうだと感じていた。土地勘の無い赴任先で暮らすことへの不安もあった。

それでも、僕は新しい赴任先にはすぐに慣れることが出来た。仕事が忙しかったことは赴任前も赴任後も同じだった。仕事に打ち込むことで陽子先輩のことを思い出さないようにしようと努めていた。仕事に打ち込めたからだったのか、仕事の基本がしっかりしているという評価を僕は周囲からすぐに得ることが出来た。でも、これは陽子先輩のお陰だと今でもつくづく思う。



そして、新しい赴任先で僕は簡単に新しい恋におちた。それが妻の明美だった。おじさん中心の職場で独身の若い男性は僕しかいなかったし、若い独身女性といえば明美しかいなかった。明美は地元の短大を卒業して、僕より一年早く就職していた。会社では一年先輩だったが、年齢は一歳下だった。小柄でおとなしい雰囲気の女性だった。乳房が大きいことは制服の上からもよく分かった。

明美と交際が始まった頃は、よもや結婚するとは思いもしなかった。たしか、赴任して半年ほど過ぎた頃から、明美があれやこれやと世話を焼いてくれるようになり、僕が一人暮らしをするアパートへ家事に通ってくれるようになっていた。明美は胸の谷間は見えるようなシャツを着たり、ジーンズのミニスカートを穿いて太腿を露わにした格好をしては、僕のアパートを訪ねてきていた。僕が我慢できなくなり、明美の体にとびつくまではそうは時間を要しなかった。

結局、赴任した翌年には明美と婚約し、その翌年には結婚していた。休日になると日がな一日中、互いの体を貪りあった。食事の時間すら勿体ないとおもう位にセックスをあきもせずに繰り返していた。

次の赴任先に移ると上の子供が生まれた。翌々年には下の子供がうまれた。僕と明美の間はすっかりお父さんとお母さんの役割になりきってしまった。僕は仕事に忙しく、明美は育児におわれる毎日になり、夫婦はセックスレスになっていた。それでも、穏やかな日々が続いた時期だった。



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